2022.01.26 / Topics
【FSC認証の導入事例7選】身近な商品やブランドでもFSC認証材が拡大
森林や動植物、人権にも配慮され、適切に管理された森林にのみ認められるFSC認証。
SDGsとの関連性も高く、身の回りの多くの製品に使用されています。
この記事では、建築や出版社、カフェ、家具メーカーなど、様々な産業での導入事例をご紹介します。企業でのSDGsへの取り組みや、普段の消費の参考にしてみてください。
1. FSC認証とは?
FSC認証(Forest Stewardship Council、森林管理協議会)とは、持続可能な森林管理のもと作られた製品につけられる認証マークです。1994年、26カ国の環境NGO・林業者・林産物取引企業・先住民団体などが中心となって設立されました。世界の森林管理のあり方を変えるアプローチとして認証制度が活用されており、現在では世界80カ国まで活動が広がっています。
特に注目すべきポイントは、FSC認証が森林の管理を認証するFM(Forest Management)認証と、加工・流通過程の管理を認証するCoC(Chain of Custody)認証によって成り立っている点です。森林の管理だけでなく、その流通・加工に関わる全ての関係者も認証することで、FSC認証が木の「履歴書」となります。そのため、消費者は環境や動植物、森林と関わる人々の人権にも尊重し、責任ある管理がなされた製品を選ぶことができます。
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2. FSC認証はSDGsにも貢献
FSC認証は、SDGs17の目標にも関係があります。
例えば、FSC認証制度によって森を適切に管理していくことは、その自然環境と動植物を守ることにつながり、目標15「陸の豊かさも守ろう」に貢献します。
その結果、2017年のSDGsの報告では、目標15「陸の豊かさも守ろう」の達成度を図る指標の一つとして、「自主的な森林認証を取得している森林の面積増加」が挙げられました。これは、SDGsの達成向けてFSC認証を含む森林認証制度の有効性が認められたということを表しています。
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FSCはSDGSにも関わる認証制度。SDGsの目標15との関係とは?
3. FSC認証の導入事例7選
持続可能な森林管理を推進するFSC認証では、認証を受けた製品にFSCロゴをつけることで、消費者が環境に良い商品を手に取りやすい仕組みとなっています。そのような商品は、家具や建築、紙製品をはじめとし、実はとても身近です。SDGsや環境を意識して導入している企業も増えていますので、以下ではその導入事例をご紹介します。
①東京オリンピック公式会場
新国立競技場をはじめとする東京オリンピック公式会場では、FSCを含む森林認証を受けた木材が使われています。
新国立競技場で森林認証材を使用するというニュースは、これまで森林認証材に価値を見いだせなかった日本の林業や木材関係者にも大きなインパクトを与えました。そして一般にも、森林認証材を知ってもらう絶好の機会となりました。
弊社でも、東京オリンピックの建設資材としてFSC材を納品させて頂いております。
②FSC認証紙を使った児童書の刊行
かいけつゾロリをはじめとする児童書や一般書を刊行するポプラ社は、2019年からFSC認証紙を使用した児童書を販売しています。
まず手始めに取り組みを行なったのは、幼児から小学校低学年の子供たちに爆発的な人気がある「おしりたんてい」の最新版。
国内製造のハードカバー書籍は、製本に紙の部材をいくつも使用しており、それぞれの製本部材もFSC認証紙とする必要がありますが、取引各社の協力を得て「FSC認証」製品としての刊行を実現しています。
ポプラ社では、将来的に「FSC®認証」製品を書籍製造のスタンダードにすることを目指して、実現可能な部分から「FSC®認証」製品を少しずつ増やしていく予定です。
③FSC認証木材の住宅・マンション標準採用
2018年、三菱地所ホームは新築注文住宅の床構造用合板に国内のFSC認証材を標準採用すると発表しました。
同社は2011年から、持続可能で責任ある木材利用を推進するためFSC認証材を主要構造材に採用し、同認証材の使用を拡大していますが、FSC認証材調達の目処が立ったことから標準化したようです。
また2021年、三菱地所レジデンスはFSC認証のコンクリート型枠スキームを、世界で初めてマンションに採用しました。同社は2016年には分譲マンションで初めてFSC認証木材を使用するなど、FSC認証材の使用にも積極的に取り組んでいますが、今回も地球環境を守り、未来につながる木材利用の推進を目指すための採用です。
④FSC認証材の家具
近年、多くの家具メーカーもFSC認証材を導入しています。中でも、国産家具メーカーである株式会社ワイス・ワイスは、伐採地の森林環境や地域社会に配慮した木材(フェアウッド)のみを家具作りに使用しています。同社では、2017年にFSC認証、CoC認証を取得し、宮崎県諸塚村で大きくなりすぎたFSCのしいたけ原木を「ニューモロツカ」というFSC認証家具へ生まれ変わらせています。
⑤環境に優しいホテル用バスアメニティ
現在、使い切りミニボトルタイプのバスアメニティを提供しているホテルや旅館にとって、使用後のプラスチック容器が環境問題の点から悩みの種となっています。しかし、使い切りボトルは高級感や清潔感が損なわれることが欠点。
そこで、バスアメニティPeskoはパッケージにクラフト紙を用い、衛生面や高級感を補いつつプラスチックの使用料を大幅に削減しています。そして、このクラフト紙にはFSC認証紙を70%使用し、より環境に配慮した商品となっています。
⑥スターバックスの紙製品はFSC認証紙
2013年から、スターバックスは環境に配慮した紙を調達しており、ペーパーカップや持ち帰り用のペーパーバッグ、ペーパーナプキン、ドリンクに使うミルクパックやソイミルクのパックなど、幅広い紙製品にFSC認証紙が使われています。
現在は主な紙製品がFSC認証に置き換わり、さらにタンブラーやリユーザブルカップの利用を促進することで、紙その物を減らす工夫もしています。
また、従業員向けにFSCの仕組みや意義を伝えるコンテンツを用意することで、従業員やお客様など多くの方にFSC認証の価値を知ってもらうことを目指しています。
2010年には、日本国内で初めて環境への負荷低減をコンセプトにした新しいタイプの店舗「スターバックコーヒ福岡大濠公園店」がオープンしましたが、福岡大濠公園店へはスターバックス様よりご依頼をいただき弊社がFSC材を供給いたしました。
⑦FSC認証紙が日本郵便の2022年年賀用はがき全てに採用
日本の正月に欠かせない年賀状でも、FSC認証紙が使われています。日本郵便では、2022年度用の年賀はがき13.3億枚全てにFSC認証紙を採用しました。採用後は、全ての年賀はがきにFSC認証マークが入り、年賀はがきを包む包装紙や納品用の段ボールなどでも認証紙をPRしています。
日本郵便は、長年親しまれている年賀はがきをFSC認証紙にすることで、森林の生物多様性や地域社会に配慮した持続可能な自然資源の利用と手紙文化の継承を推進し、お客さまとともに世界の森林保全を応援していくことを掲げています。
また、今後は通常はがきについても順次FSC認証紙に切り替えていくようです。
4. まとめ
日本でも東京オリンピックや年賀状への導入などでFSC認証が注目される機会が増加しています。FSC認証は、消費者はFSC認証マークのある商品を選択したり企業は紙製品をFSC認証紙に置き換えたりと、導入しやすいSDGsに関わる取り組みです。企業の社会貢献や環境に優しい選択として導入を検討されてはいかがでしょうか。
5. 中村製材所について
中村製材所では、FSC認証材、特に国産の地域材の小径木に着目し、それを有効的活用した次世代突板『SKINWOOD®』を開発しました。森林資源の保全や環境を守り、地域の誇りを取り戻すこと、安全・安心な暮らしをサポートすること、地域経済の活性化を目指した取組です。
■参考文献
FSC応援:https://shitte-erabo.net/fscproducts/story/11596/
STARBUCKS:https://stories.starbucks.co.jp/ja/stories/2021/greener-sourcing-fsc/
PRTIMES:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000021.000037376.html
FSC応援:https://shitte-erabo.net/fscproducts/story/5115/
PRTIMES:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000084.000031579.html
FSC JAPAN:https://jp.fsc.org/jp-ja/FSC_contributing_to_SDGs