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FSC®森林管理協議会CoC認証取得 株式会社 中村製材所

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2022.01.28 / Topics

建築業界は取り入れるべき!FSCはSDGSにも関わる認証制度。目標15との関係とは?

森林や動植物、人権にも配慮され、適切に管理された森林にのみ認められるFSC認証。森林の認証だけでなく、その加工・流通過程まで審査をすることで、消費者は適切に管理された商品を誤りなく選択することができます。

SDGsとの関連性も高く、SDGsの目標17のうち14もの目標に貢献できる認証です。

この記事では、FSCがなぜSDGsに貢献できるのか、具体的な原則や取り組みを見ながらご紹介します。SDGsと林業について知りたい方や、SDGsを導入されたい企業の皆様はぜひ最後までご覧ください。

1. SDGsとは?

SDGsとは、Sustainable Development Goalsの頭文字をとった言葉で、日本語では「持続可能な開発目標」。

2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に記載されており、2016年から2030年までに持続可能でより良い世界を目指す国際目標です。

全部で17のゴール・169のターゲットから構成され,地球上の「誰一人取り残さない(leave no one behind)」ことを誓っています。前身となるMDGsは先進国により決められたもので地域の偏りもあったのに対し、SDGsは発展途上国も先進国も境界のない普遍的なものとなっています。

2. FSC認証とは? 

FSC認証は、環境、社会、経済に配慮され、適切に管理された森林を認証する森林認証制度のことです。

産地となる森林の認証だけでなく、その加工、物流業者など商品が消費者の手に届くまでの全ての関係者が認証を取得することで、信頼性が保たれています。

また、FSC認証を受けた商品にはFSCマークが付けられ、消費者が適切に管理された森林からできた商品を選択できるようになっています。

詳しくはこちら↓

3. FSC認証とSDGSの関わり

SDGsには17の目標と169項目のターゲットが定められていますが、FSCはその中の14の目標と40項目のターゲットに対して貢献します。

森林認証と直接的に関係のある目標13や15だけでなく、これだけ多くの目標に貢献できているのには、FSCのある原則が関係しています。

それは、「FSCの原則と基準」です。

「FSCの原則と基準」とは、簡単にいうと森林を認証する際に使われる判断基準のこと。森林を認証するための10の原則と70の基準が設けられており、この基準を達成したものだけがFSC認証林として認められています。


<10の原則>

原則1:合法性

原則2:労働者の権利

原則3:先住民族の権利

原則4:地域社会との関係

原則5:森林からの便益

原則6:環境

原則7:管理計画

原則8:モニタリング

原則9:高い保護価値(HCV)

原則10:管理活動の実施

https://www.pref.yamanashi.jp/miryoku/shizen/mori/documents/fsc_leaflet_gensoku


この原則は、環境NGOや林業関係者、先住民族、研究者など森林に関係する様々な人の声を集め、環境・社会・経済のバランスをとって作られたものであるため、森林環境だけでなくそこで働く人々の人権や地域社会、法律の遵守、先住民族の権利なども考慮された原則・基準となっているのです。

このように、様々な利害関係者の声のもと厳格に定められた原則をクリアしているからこそ、FSC認証はSDGsの達成に貢献していると言えます。

また、FSCはSDGsの達成に向けた具体的なアクションもおこしています。2017年10月、FSCの総会において、「SDGsとFSC認証に関するバンクーバー宣言」を発表しました。

これは、参加した企業が持続可能な木材の調達を約束する共同宣言です。この共同宣言は、世界中の林業関係者に認証材の必要性を訴えるとともに、共同宣言に参加することでSDGsの達成を促進することができます。

4. SDGsの目標15「陸の豊かさも守ろう」に大きく貢献

目標15「陸の豊かさも守ろう」は、森林、湿地、山地、乾燥地など陸の生態系の損失を食い止め、持続させ、生物多様性を保護することに焦点を当てた目標です。

陸地面積の 3 分の 1 を占める森林には、全世界の陸上生物種の半分以上 が生息し、世界の淡水の 75%を生み出しています。

また、毎年人類が排出する二酸化炭素の 7 倍の量を貯留しており、年間最大 1.8 ギガトンの二酸化炭素を吸収しています。

しかし、WWFから2021年に発表された報告書によると、2004年から2017年までの間になんと4,300万ヘクタール以上の森林が失われてしまいました。

これは、なんと日本の約1.2倍に相当する大きさで、この大規模な森林の減少が生物の絶滅や地球温暖化の加速にも繋がっています。

このような喫緊の状況下でFSCは、SDGsの目標15に特に貢献しています。

例えば、FSC認証では森林管理者が森林破壊や森林劣化につながる活動を防ぐ厳しい規則が設けられていますが、これにより森林の減少や劣化を抑え、森林を回復することができます(ターゲット15.2)。

他にも、FSCの基本的な原則は、森林生態系の保全と復元(ターゲット15.1)、劣化した土壌と土地の回復(ターゲット15.3)、産地生態系の保全(ターゲット15.4)や自然生息地の保護(ターゲット15.5)など目標15のターゲット全般に発揮されます。


また、認証を維持するためには毎年の年次審査や、5年ごとの更新審査をクリアする必要があるため、森林保有者はFSCの基準を継続的にクリアし続ける必要があります。

まさに、FSC認証は持続可能な環境保護、そして持続可能な経済や社会のための認証と言えるでしょう。


このような森林認証の仕組みは国連からも評価され、2017年のSDGsの報告では、目標15「陸の豊かさも守ろう」の達成度を測る指標の一つに、「自主的な森林認証を取得している森林の面積増加」が挙げられました。

これは、FSCなどの森林認証制度が、SDGsの達成に有効だと認められたことを表しています。
森林認証を得た森林が増加することは、SDGsの達成の達成に向け一歩前進することにつながるのです。

5. FSCが貢献するその他の目標

FSCは、目標15以外にも幅広くSDGsに貢献しています。貢献している14の目標のうち、いくつかをご紹介します。


■目標1「貧困を無くそう」

FSCの規則には、合理的な賃金、森林労働者の保護、および森林管理からの地域社会の利益の確保などが含まれます。

それにより、労働者は安全な環境下で正当な賃金を受け取ることができます。

また、認証を受けると地域社会の発展に貢献する活動が求められますが、その活動の 一環として、地域に学校や病院を作り運営している事例もあります。地域に学校や病院ができることで、貧困から抜け出すための教養と健康を得ることができるのです。


■目標5「ジェンダー平等を達成しよう」

FSCの原則と基準2.2では、「組織 は、雇用慣行、教育訓練の機会、契約の締結、協議過程、事業活動において男女平等を推進しなければならない」と定められています。

FSCの基準の元国や地域ごとに定められている指標についても、以下のように男女平等が具体的に含まれています。


<指標の例>

・ 男女ともに同じ雇用の機会を提供すること・同じ仕事をしている男女には同じ賃金を支払うこと

・復帰後に不利益を被ることがない育児休暇を取得する権利を提供すること

・男女ともに会議や意思決定の場に参加できるようにすること

■目標12「使う責任、作る責任」

https://stories.starbucks.co.jp/ja/stories/2021/greener-sourcing-fsc/

FSC認証マークによるラベリングや、FSC認証材の取引を通じて、製造業者、消費者は持続可能性に配慮された製品を選ぶことができます。今では公的な事業でFSC認証が導入されることも増えており、


・ターゲット12.2「天然資源の持続可能な管理及び効率的な利用」

・ターゲット12.8「企業による持続可能な取り組みの報告」

・ターゲット12.8「持続可能な開発及び自然と調和したライフスタイルに関する情報と意識」


などの目標に貢献しています。

また、FSCは原材料の再利用についても高く評価し、100%リサイクル原料の製品へのFSCラベル使用を許可しています。ラベリングにより、消費者も製造業者も環境に配慮された製品を扱うことができ、目標12に貢献していると言えます。


■目標14「海の豊かさを守ろう」

海の豊かさというと、海洋プラスチックや水産資源の乱獲が注目されますが、山や陸の影響も無視できません。

例えば、森林伐採や森林の劣化が侵食を引き起こすと、堆積物が水路を塞いでしまいます。また、農薬や肥料も、最終的に海に流れて海洋汚染を引き起こしてしまいます。


FSC認証林は、 基準6.7「組織は、自然な河川や渓流、湖沼と川岸地帯、およびそれらの接続性を保護または復元しなければならない。また、事業活動による水質と水量への悪影響を回避し、悪影響があった場合は、これを低減及び改善しな ければならない」に見られるように、水資源管理と水系生態系の保護を通じて、持続可能な水利用に貢献しています。

原則10においては化学肥料や農薬の使用を厳しく制限しています。

■目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」

SDGsを達成するためには、政府、民間、市民、あらゆる組織や専門家が協力しパートナーシップを結ぶ必要がありますが、特にFSCはあらゆる利害関係者の意見をとても大切にしています。

意思決定は環境・社会・経済の立場の会員が意思決定を行い、様々な立場の方が関わることでバランスの取れたアプローチが実現しています。

認証においては、小規模森林所有者が一緒に認証を取得できるグループ認証という制度があり、業界内での協力関係もできています。

6.まとめ

FSC認証は、森林の保護だけでなく人権や地域社会、生態系にも配慮した認証制度。様々な関係者の声を反映した厳しい原則と基準を設けることで、SDGsの14もの目標に貢献できる森林認証となっているのです。消費者としてFSCラベルの商品を選択するのはもちろん、取り入れやすいSDGsの取り組みですので、建築業界、家具メーカー、ものづくり系列のみなさまはFSC認証材を導入してみてはいかがでしょうか?

7.中村製材所について

中村製材所では、FSC認証材、特に国産の地域材の小径木に着目し、それを有効的活用した次世代突板『SKINWOOD®』を開発しました。森林資源の保全や環境を守り、地域の誇りを取り戻すこと、安全・安心な暮らしをサポートすること、地域経済の活性化を目指した取組です。

■参考文献

https://jp.fsc.org/jp-ja/FSC_contributing_to_SDGs

FSC応援:https://shitte-erabo.net/fscproducts/study/10619/

https://uk.fsc.org/impact

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