2025.12.23 / Topics
建築の未来は素材が決める
建築は、技術やデザインだけで進化してきたわけではありません。
その根底には常に、「どんな素材を使うか」という選択がありました。
コンクリート、鉄、ガラス、そして木材。
社会の価値観や技術の進歩とともに、建築素材も性能がよくなっていきました。
脱炭素社会への移行が求められる今、素材選びは単なる性能の比較ではなく、建築の未来像そのものを形づくる選択になりつつあります。
技術革新と素材進化の関係
建築技術の進化は、常に素材の進化と表裏一体でした。
・鉄骨構造の発展は、高層建築を可能にした
・ガラス技術の進歩は、外部から建築内部を守りながら光を確保
・断熱材の普及によって、夏は涼しく冬は暖かい建物づくりが実現
そして現在、環境性能・資源循環・持続可能性 という新たな軸が、素材に求められています。
これからの素材は、どのように生まれ、どう循環するか まで含めて評価される存在になっています。
脱炭素社会と建築素材の課題
脱炭素社会の実現に向け、建築分野も大きな転換点を迎えています。
特に課題となっているのが、建設・製造・輸送段階での CO₂ 排出や、解体後の廃棄・再利用のあり方です。
これらの課題に対し、木材は有効な解決策の一つとして注目されています。
木材は成長過程で二酸化炭素を吸収し、建築材料として使われた後も、炭素を内部に固定し続ける特性を持つ素材です。
また、製造時に必要とするエネルギーも、鉄やコンクリートと比べて相対的に少ないとされています。
こうした特性から、木材は「建築分野における脱炭素化」を進める上で、環境負荷の低い素材だと言えます。
さらに近年では、解体後の廃棄や再利用の観点においても、バイオマスエネルギーとしての活用が期待される素材です。
しかし一方で、木材利用には現実的な課題も存在します。
・品質のばらつき
・供給の不安定さ
・建築規模とのミスマッチ
つまり木材は、脱炭素社会の課題を解決し得る素材である一方で、
そのままでは住宅以外の建築に使いやすい素材とは言えない のです。
これからの非住宅建築に求められるのは、木材の環境性能を活かしつつ、供給・品質・建築スケールといった課題をどう乗り越えるか、という視点です。
脱炭素社会における素材選びは、「木材か否か」ではなく、「木材をどう非住宅の建築にも適合させるか」 という段階へと進んでいます。
次世代建築に求められる素材条件
次世代の建築素材には、次のような条件が求められています。
・環境負荷を抑えられること
・安定した品質で供給できること
・建築スケールに対応できる再現性があること
・意匠性と性能を両立できること
・技術や設計の進化に柔軟に対応できること
つまり、理想論としてのエコ素材 ではなく、実装可能なサステナブル素材 が必要とされてきています。
次世代の突板SKINWOOD®
突板(つきいた)は、木材を、薄くスライスした素材です。
基本的に、基材に練り付けることで建材に使用されます。
無垢材に比べて品質や寸法の安定をさせやすい利点があります。
さらに次世代の突板SKINWOOD®は
・均一性の高い柾目を面積に展開できる
・小径木や未活用材を効率的に活用できる
・可能な限りの再現性を確保できる
といった特長を持ちます。
地域材や森林認証材と組み合わせることで、素材の背景や循環まで含めた可能性が広がります。
まとめ
建築の未来を決めるのは、新しい形や技術だけではありません。
どんな素材を、どんな思想で選ぶのか。
その積み重ねが、建築の方向性を静かに、しかし確実に変えていきます。
次世代の突板SKINWOOD®は、木材の価値を未来へ引き継ぐための一つの答えです。
これからの建築は、素材選びそのものが進化の起点になっていくのではないでしょうか。