2025.12.19 / Topics
建築で地域と森を再生する
地域の森林が抱える課題は、林業だけの問題ではありません。
建築が「地域をつなぐ接点」になることで、森林資源が持続的に循環し、地域経済の再生にもつながります。
本記事では、地域材を軸に、森と建築が共に成長していく仕組みを考えます。
地域林業の現状と建築の役割
日本の森林は豊かに見えますが、実は多くの地域で木材利用が進まず、林業の担い手不足にも直面しています。
その結果、地域の森は適切な手入れが行われにくくなり、森林資源が十分に活かされない状況が続いています。
しかし、建築には大きな可能性があります。
・地域材を使うことで地域の経済循環に寄与できる
・林業者と建築側の連携によって森の管理が安定する
・地域の素材で地域をつくる価値が高まりつつある
特に公共建築や地域拠点施設では、地域材の採用が増えています。
建築が“素材を使う側”から“地域資源を活かす側”へと役割を広げてきているのです。
森林資源を活かした地域循環モデル
地域材を建築に使うことは、単なる地産地消ではありません。
森林 → 加工 → 建築 → 利用 → 森林再整備 という、地域全体の資源循環を生み出す行為です。
特に、木材利用が安定すると以下の循環が成立しやすくなります。
・伐採・搬出が適切に行われ、森林整備のサイクルが回る
・製材所などの加工所が継続的に稼働する
・建築側が安定した品質と供給を確保できる
・地域の林業・林産産業に雇用が生まれる
地域材の利用を建築が後押しすることで、健全な循環が徐々に成立し、地域の森を健全に保つ力につながります。
建築は、森を守るだけでなく 森を動かすエンジン になれるのです。
地域材を使用した建築のブランディング戦略
木材の木目や質感がもたらす温かさは、空間に足を踏み入れた瞬間に直感的に伝わります。
地域材を使った建築は、その地域の「らしさ」を空間の中で可視化できる力を持っています。
たとえば、節があること、葉節が現れていること、赤身が強いこと、あるいは白い部分が多いこと。
木目が真っすぐな材もあれば、揺らぎのある表情を見せる材もあります。
こうした特徴はすべて、その土地で育った木が持つ個性です。
一方で、その木がどこの森で育ち、どのような環境や管理のもとで生まれた素材なのかは、見ただけではほとんど伝わりません。
建築の背景として、地域性や森林の管理について理解してもらうためには、意図的に情報として発信する視点 が欠かせません。
さらに重要なのは、その情報を「知識」として伝えるだけでなく、人が関わり、参加できる体験として開いていくこと です。
たとえば
・建築の一部に、地域材を採用している理由や産地を伝えるサインを設ける
・建物完成後、地域住民や利用者を巻き込んだ植樹活動や森づくりイベントを行う
・子どもたちが建物に使われた木材に触れ、加工や着色を体験できるワークショップを開く
こうした取り組みは、建築を「完成して終わりの成果物」から、地域や社会との関係が続いていく場 へと変えていきます。
地域材を使用した建築のブランディング戦略とは、木目の美しさや素材の個性を入口に、情報と体験を重ねながら、「木を選ぶこと」「建築をつくること」の意味そのものを、周囲へ、そして次の世代へと広げていく試みなのかもしれません。
次世代の突板SKINWOOD®がかなえる地域材活用

地域材を広く建築に活かす上で課題となるのが
・原木のサイズや質のばらつき
・安定供給の難しさ
・大規模建築物での均一性の確保
などの点です。
これらの問題を解決する方法のひとつが、次世代の突板SKINWOOD®です。
なぜSKINWOOD®なのか?
・小径木や未活用材などが活用できる
・木目のばらつきを最大限抑え、均一性が高い柾目を提供できる
・施工性・寸法安定性が高く、内装仕上げに最適
・公共建築・商業施設など大規模物件でもロット対応が可能
地域材の「魅力」を最大化しながら、「課題」を最小化できるのがSKINWOOD®の強みです。
また、Crystal SKINWOOD®はメッセージを載せて発信することができる製品です。
まとめ
地域材を建築に取り入れることは、地域の森の課題を解決するだけではありません。
・林業の活性化
・地域経済の循環
・地域らしさの発信
・誇りある建築の創出
・持続可能な森林管理の後押し
こうした“地域の未来”まで動かす力を持っています。
建築は、地域を形づくる社会インフラであり、地域の森と人をつなぐ重要な媒介です。
SKINWOOD®の活用は、森と建築が共に成長していく循環の、一つの大きな可能性です。